しかしそれがすべてではない。 いま科学者は、ティーンエイジャーの行動をホルモンのしわざで片づけるのではなく、さらに先を探ろうとしている、そして手がかりが意外なところに見つかった。
首から上の部分、つまり煮えくりかえって、とっちらかった脳である。 10代の脳は、もう成長が終わってできあがっていると長いあいだ思われていた。
人間の脳は、3歳ぐらいまでに重要な発達を完了させるというのが定説だった。 だからティーンエイジャーの行動を説明するのは、社会科学とか心理学、精神医学、教育、場合によっては宗教の仕事であって、神経科学はお門ちがいだった。
オレンジ色に染めてとがらせた髪の下、ピアスをはめた眉の奥に、いまさらどんなおもしろいことが隠れているというのか?ところが実は、おもしろいことだらけだったのだ。 ティーンエイジャーの脳を探るという、過去に例のない研究が進むにつれて、彼らの脳の働きが解明されつつある。
強力なスキャン機器を用いて、生きて活動しているティーンエイジャーの脳を見ることができるようになった。 霊長類やラットを使った先駆的な研究をもとに、神経科学者たちは国や大陸を越えて協力しながら、ティーンエイジャーの脳が劇的な変化を遂げていることを突きとめた。

10代の脳は、一大建設プロジェクトのようなもので、作業はまだまだ進行中だ。 そこでは、数えきれないほど新しい回路が接続され、それ以上に多くの古い接続が切断されている。
さまざまな神経伝達物質を浴びることで、脳はその姿を変え、持ち主の人生に新たなチャンスを与える。 ティーンエイジの脳は、将来あるべき姿に向かって成長している最中だ。
それだけに無防備で傷つきやすい。 「思春期の脳に変化があるとしても、それはごく小さなものだと思っていたわ」と語るのは、思春期の脳研究では第一人者であるUのE・Sだ。
「しかし実際には、私たちが考えている以上に顕著な変化が起こっている。 ティーンエイジャーの脳は、観察するたびに新しい発見思春期の脳に取りくむ神経科学者の数は増えており、なかには親として、ティーンエイジャーのわが子を理解する必要に迫られている人もいる。
そんな研究者たちの努力によって、ティーンエイジャーの行動を解釈する手がかりが得られようとしている。 正常で平均的な17歳の少女が、「一時的な狂気」と表現したこの時期に、正常で平均的なティーンエイジャーの脳にいったい何が起こっているのか。

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